この記事では、「子どもにゲームをさせていいの?」
という、「子どものゲームは悪影響かどうか」について、保育士の視点からお伝えします。
よくこんな話を保護者から聞きます。
- 「子どもにゲームは与えるべきか迷う」
- 「子どもの遊び=ゲームはいいのか?」
- 「ゲームがしたいからとご飯になってもゲームに夢中」
- 「外で遊ばずSwitchやDSのゲームばかりしている」
上記のように、子どものゲームで悩まれたことはありませんか?
今回は「子どものゲーム」についてお話します。
子どものゲームはさせない方がよいと聞くけど・・・
ゲーム脳などと言われ、なんとなくいけない気はするけど…。
男女関係なく、女の子も子どもの頃からゲームをしますよね。
子どもにテレビやスマホ、携帯ゲーム機(SwitchやDS)などでゲームをさせることって、マイナスのイメージが強いと思います。
できればやって欲しくないなぁと思う親心、分からなくありません。
でも、やらせておけば大人しくしているからという理由で「いけないとは思いつつ…」
やらせてしまっているという保護者も多いことでしょう。
この気持ちも、とてもよく分かります。
では、どうして「良くない」とされているのでしょうね?
子どもが小さいうちからゲームに夢中だとどうなるの?
子どもがゲームをすると…
あらためて、周りの保護者に「子どもがゲームをすること」について意見を聞いてみました。
目や姿勢が悪くなる
そうですね。間違いなく良くはならない、悪くなるでしょう。
公園とかで集まってゲームしている姿を見ると悲しくなる。
そうですね。子どもなんだから走って元気に遊んでよ。と思う気持ちも、よく分かります。
ちょっとでもつまづくと、すぐ別のゲームをする子どもが気になる。
そうなんですね。なぜすぐやめてしまうのでしょうね?
※このことについては、ちょっと気になったので別記事でも触れたいと思います。
子どもの感情が形成される時期
子どもにとって大事な時期です。
感情が形成される時期にゲームするのは心配。
ゲーム脳なんて言葉もあるし。
そうですよね。なんとなく悪影響があるような?そんな感じがします。
外で遊ぶことのほうがいいのでは?
私もそう思いますが、外でもゲームをしている子どもをよく見かけます。
身体全体を使うほうがいいのでは?
その方が筋力など、養われそうですね。
コミュニケーション不足が心配
ゲームを我慢できず、イライラしたりするからコミュニケーションは大丈夫なのか。
分かります。ずっとそればかりだと、そういうことも心配されますね。
出てくる出てくる、保護者の思い。
皆さん一度は考えたことがあるのですね。
やっぱりゲームはあまり良くないと考える方が多そうです。
では、もう少し掘り下げて考えてみましょう。
「どうして」良くないのか。
ゲームはどうして子どもに悪影響といわれるの?
ゲームをする子どもにゲームは悪影響だとよく聞きますよね。
実際のところはどうなのでしょうか?
ところで私自身、女ですがゲームが大好きです。
プロフィールの趣味の欄にも書くくらい。
小学生の頃から、女の子なのに父親の影響を受けてテレビゲームに没頭することもありました。
母親もあきれていましたね…。
ということもあって、私は個人的にはゲーム自体を否定しません。
でも保育士として皆さんに、ゲームが子どもに及ぼす影響については少し詳しくお話しできるかと思います。
また、ゲーム好きとしてゲームの魅力についても。
なぜ子どもはゲームをしたがり、夢中になるのか
保護者の皆さんにはゲームに興味のない方も沢山いらっしゃると思います。
何故子どもがゲームをしたがるのか理解できない方も多いでしょう。
理解できないことや未経験のことを避けたいと思うのは当然の心理だと思います。
ゲームなどという、マイナスのイメージが備わったものであれば、なおさらです。
しかし、実際に自分の子がゲームに興味を持っているとしたら、それが何故なのか、気になりませんか?
何故楽しいと思うのか分かっていれば、それに代わる物を提供できるとは思いませんか?
一方的に「ゲームはだめ!」と怒らずに済むと思いませんか?
ゲームの中には夢中になれる達成感がいっぱい
世の中にはいろいろなゲームがあります。
ジャンルも多種多様で、分かり易いところではテトリスのようなパズルゲームだったり、マリオのようなアクションゲームだったりと本当にさまざまです。
このようなゲームジャンルの垣根を越えて、全てのゲームに共通する楽しさとして大きなものを一つ挙げるとするならば、
私は「達成感」と答えます。
達成感とは、あることを成し遂げたことによって得られる満足感のことです。
ゲームをする人は、その中で「目標」をもってそれを「達成」することを目的としてその過程を楽しんでいます。
パズルでもアクションでもRPGでも…どんなジャンルにおいてもそのことは不変です。
簡単に言うならば「できた!!」という喜びです。
努力したことによってそれが報われた瞬間がうれしいのです。
あれ?それって、ゲームじゃなくても経験できるんじゃないの?と思いますよね。
その通りです。達成感は何も、ゲームじゃなくても得られます。
パズルゲームじゃなくたってジグソーパズルでいいんです。
でも、子どもが選ぶのはゲームですね。どうしてでしょうか。
ジグソーパズルとパズルゲームの違いは目標の探し方
理由は簡単です。ゲームは手軽だからです。
何が手軽かというと、プレイヤーは何も考えなくても次々と用意された新しい目標を与えられるというところです。
新しい目標を「考える」ことをしなくて良いのです。
もしくは用意されている幾つかから、選ぶだけでOKです。
用意された目標を達成する過程で初めて、考えるのです。
そしてそれを達成すれば、いつの間にかまた次の新しい目標が用意されています。
そして、ゲームでしか体験できないような現実離れしたファンタジーな世界や、時には恐怖感なども手軽に体験できます。
映画などで現実離れした世界に身を置いて楽しむ方もいると思いますが、それと基本的には変わりません。
子どもにとってのゲームの魅力は「手軽な達成感」
この「手軽さ」がゲームなのです。
遊び方を考える手間や、遊びを楽しむ工夫を省いて「達成感」を得られるのです。
家にある一つのジグソーパズルを何回もやるのも楽しいですが、いずれは飽きてしまいますよね。
子どもはその時、また新しいジグソーパズルを買ってもらおうか、でもそんなこと何度も許されることではないから他のどんな遊びをしようかと色々検討するのです。
でも、ゲームさえあれば、やる度に違うパズルゲームを何十、何百回と用意してもらえます。
その手軽さの価値は大きいと思いませんか?便利さの観点だけで言えば、雑誌よりもスマホのアプリを活用する人が増えた理由と変わらないと思います。
ゲームで得られる手軽さの甘いワナ
さてこの手軽さ、というのは相手が幼少期でなければ大変便利で貴重なことです。
「自分で考える時間をできるだけ省く」というのは大人の世界では、特にビジネスにおいては常識でしょう。
しかし、相手が子どもとなると話は違ってきます。
「手軽」に「達成感」を得る遊び方をしていると何がどういけないのでしょうか。
ゲームが子どもに与える影響
①自分で遊びが見つけられなくなる
●与えられたものばかりで遊んでいると自分では遊びが見つけられなくなります。
また、達成感を得るための「遊びを見つける」プロセスを面倒だと感じるようになります。
②コミュニケーション能力の低下
●子どもは遊びの中で友達と関わりあって社会を学びます。
ゲームばかりだと、この大切な経験ができません。
③遊びの楽しさがわからなくなる
●①と②から、友達と遊ぶことの楽しさがわからなくなります。
④自己肯定感が育まれない=「どうせ僕なんて何もできない」と思う子になる
●自己肯定感とは、「自分はこんなことができる。すごい存在なんだ」という言わば自信のことです。
お手伝いをして褒められる、逆上がりができて褒められる、人にやさしくできて褒められる、なんでもいいんです。
人に褒められて、認められてぼくってすごいじゃん♬って自分で自分を認めることができることです。
ゲームは人に結果を認められることはなく、自分だけで満足するものなので自己肯定感を育むのは難しいのです。
※自己肯定感について詳しくはまた別の機会にお話しします
また、五感を働かせないので、脳の働きにも重大な影響を及ぼすと思いますが、今回は分かり易くこの4点に絞っておきたいと思います。
特に上記①②③は負のスパイラルですね。
繰り返して、結局ゲームにしか楽しみを見出せなくなってしまいそうです…
子どもにはゲームを禁止するべきか
さて、ここまで読んでいただいてゲームが子どもに与える影響について、ただなんとなくではなく確信をもって「良くない」と思われた方が多いと思います。
しかし、私自身はたまにはゲームをやっても良いのではないかと思っています。
子どもだって、手軽に楽しいことをしたいと思って当然だと思うからです。
大人だって、スマホやパソコンや映画をみますよね。それと同じです。
ただ、「どうして」ゲームをすると良くないのかということを、与える側がきちんと理解していれば
- 代わりの遊び方を提供したり
- 一緒に遊びを探してみたり
- 時間を制限したり
色々な手立てを考えて、上記のような良くない影響の多くは避けられると思うのです。
それに今のこの情報化社会ではゲームをはじめパソコン、スマホなどを含める媒体に触れさせないことの方が不自然です。
お友達をみんなゲームを持っていますので、難しいことなのではないかと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
みなさんも、この機会にご自分の中だけではなくご家庭で一緒に、子どもとゲームについて考えてみてくださいね。